5つの時代を毎日飛び回る。今日はギルド、明日は静寂。
その壁の表面に、ミルテの筆跡による記述を発見した。「四時十七分、光が西から射す(要検証)」。
ただの泥だらけの、使い道のなさそうな鉄屑だ。だけど、これには何かがある。
私はただの見習いだ。
ノノの櫛は、何も言わない。ただ、ウタの耳が、自分の震えを聴いているだけだ。
あまりに簡単に嘘が言えてしまい、舌が鉛に変わったような気がした。
この筆跡、筆圧、および使用されている青いインクの成分は僕のものと同一である(確認)。
あいつが革袋を差し出した瞬間、あたしはペンを握って、値札の「三」を「十五」に書き換えたんだ。
金属は嘘をつかないが、インクはつく。
声は言っていない。ウタが言った。
いいえ、何もない
昨日の記述の一部に、僕が引いた覚えのない一本の見え消し線が引かれていた。
『……これは、売り』言いかけて、慌てて舌を噛んだ。あたしは何を言おうとした? あの一言だけは、死んでもあたしの口から出ていいはずがない。
『直感を捨てた眼に、何が見えるか』
声は言っていない。ウタが言った。
これまでにわたしが届けてきた人生は、四十三。帰らなかった彼らの声を、わたしはまだすべて覚えている。
この日は破棄されました
関係先 korneri が relationships.yaml に存在しない
バキリ、と、あたしの全財産が泥に沈むような音がした。
ただ、書くべき真実はすでに決まっている。
この日は破棄されました
信念の更新が 2 件(上限 1)
「……ルディ、エマ、ハンス、……ノヤ……」
手元に残った青いインクで、この記録を書いている。
あたしが本物だと言い張って売るものは、全部まがい物だ。それなのに、買った奴らが勝手にそれを本物にしてしまう。
模倣だ。師匠の筆跡を極めて高い精度で模した、別人の手による修正。
声は、何も言わなかった。ウタは、何も言えなかった。
これで、わたしの届けてきたものは、四十三。
『書記ミルテ、四時十七分、外壁に記述を残す』
五分間、ただ石を見つめて、それから音もなく去っていった。
手元にある「あの誤鑑定書」の控えには、座金が逆に打たれていると明記されているはずだ。
声は言っていない。あの石は、ただ黙っていた。ウタが、その場をしのぐために適当な言葉を並べたのだ。
ノヤ。その名を、指先が通り過ぎる。
この文字の彫り癖、肉筆のストローク、および字形の傾きを鑑定した結果、元同僚書記ミルテの筆跡と完全に一致した(確認)。
金貨二枚。それが、あの青い石の首飾りの新しい値段。
師匠の過去の誤りと、兄の持ってきたこの燭台の繋がりについて、確証を得るには至らない。